カテゴリー「33 高齢者問題の考察と対策」の3件の記事

2010年8月29日 (日曜日)

高齢者不明問題の考察 Ⅲ

 「数字は嘘を付かない」しかし「人間が数字に嘘を付かせることはある
 かつて、2~3年だが数字を扱う業務を担当していた当時を思い出した。

 「間違ったデータは、組織を崩壊に導くこともある」、大切な事務仕事なのだと、冒頭のように厳しく教えられたし、教えてもきた。
 基本となる数字が間違っていると、他のことまで影響し信頼が無くなる。
 ご商売の方は仕入れや売り上げデータであろうし、人数把握が必要な仕事では一人増えても、居なくても大変なことだ。

 その点でも市町村の住民基本台帳は極めて重要のはずだ41j5bfxy10l
 その地域の人口や世帯数などの情報は、地方交付税の算定基準、小選挙区の画定基準、また、国や地方公共団体による高齢者対策など様々な施策の立案・企画・推進に影響する。
 もし、デタラメなデータで高齢者対策を論じていたなら、余計な予算請求をしていた可能性もあるし、全てが、いいかげんな施策ということになる。この疑問、的はずれだろうか。
 
酒田市では所在不明の100歳以上は587人
山形市で所在不明の100歳以上は610人
秋田市では戸籍上は120歳を超えている人が263人いた。
能代市も戸籍上の120歳以上が263人
大館市では100歳以上の住民登録35人に対し、戸籍があるのは194人
鹿角市では100歳以上の住民登録10人に対し、117人の戸籍が残っていた。
○天理市は100歳以上の所在不明高齢者が100人いることが判明した。
○大和郡山市では206人の100歳以上の高齢者の戸籍上の生存が判明
 等々、公表の仕方はいろいろだが、不明者の数は、まるで大災害発生時、当初数名の犠牲者が、倍々で増加し、結局は数千人の犠牲者が公表されるようなものだ。
 全国の各市町村は、早急に実態を公表し、その対策を急ぐ必要がある。
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  厚生労働省は昨年(平成21年)、100歳以上の高齢者が9月15日時点で4万399人、東京だけでも4800人いると、高長寿社会を発表した。
 果たして、本当の生存者は何割の生存が確認されるのか。
 公表した数字の2~3割に減少する可能性もある。

  戸籍が生き続けている言い訳として
 「戦争時に死亡して届け出が出ていなかったり、海外に移住して届け出が滞っている、転居などの際に戸籍への記載が途切れたりした」などと、当たり障りのない例を挙げているが、当方は信じていない。
 また、「戸籍や住民登録は届け出主義なので、人の移動や死亡などを完全に把握するのは限界がある」との見方もあるというが、それなら別の対策を考えることだ。

 市区町村は、所在不明の高齢者の生死が不明の場合、100歳以上の高齢者は法務局の許可を得て戸籍を除籍する「高齢者消除」ができる。
 国民も、年金を不正受給していないことが分かれば、それで納得するのだろうか。
 「人間は数字に嘘を付かせることはある

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2010年8月28日 (土曜日)

高齢者不明問題の考察 Ⅱ

 高齢者不明問題の発端となった「足立区千住5-20-10加藤宗現(そうげCrm1008080700008p2ん)さん111歳白骨化遺体事件」で、宗現さん名義で遺族共済年金を不正受給したとして、長女と孫が詐欺容疑で8月27日逮捕された。この事件は、年金不正受給や行方不明者などの現状と問題を、国民に提起した点で意義があると思う。

 まず、全国の合同納骨堂等の無縁仏と戸籍上で生き続ける不明数は正比例しているはずであり、年金不正受給を防止する意味でも、対策は喫緊だ。それに、年齢に関係なく身元不明遺体は、国内で年1千体を超すというから驚く。
 8月26日現在で、全国の市町村で100歳以上の不明者は271人に上ると報道された。しかし、この271人は誰も納得しないいずれ10倍以上の数次が明らかになる可能性がある
 また、調査年齢は、年金受給開始年齢に下げての調査が迫られる。

 また、都内最高齢とされる古谷ふささんは、明治30年生まれ113歳となるが、杉並区成田東5丁目の住民登録地に居住せず、所在確認されていない。それに、夫は都の公務員で昭和35年に死亡しているが、遺族年金にあたる「扶助料」が現在も古谷ふさの口座に振り込まれているという。
  それにしても、ふささんは何処に行ったのか、関係者は懸命に捜査中だろう。

 前回、「高齢者不明問題の考察と対策」でも触れたが、不明者は、孤独死、自殺、行き倒れなどが身元不明のまま処理され、戸籍だけが生き続けている可能性が高い。 
 仮に、古谷ふささんが死亡しているなら、三つのことが推測される。
  (1) 家族が死亡の事実を隠し続け、遺体は何処かに隠した。
 (2) 事件に巻き込まれたか、自殺し、事件も、自殺した遺体も発覚していない。
  (3) 晩年、一人暮らしか、旅先か、路上生活で、事故死か病死か老衰死した。
 一番可能性が高いのが(3)の孤独死による無縁仏だろう。当然、足立区の事件のように家族がひた隠して遺体も隠しり、廃棄した疑いも捨てきれない。
 しかし、その遺体(遺骨)が何処にあるのか、捜すだけでも大変なことと思う。
 照合するには、死亡時のデータと生存時のデータが必要だ。死亡時には指紋や歯形、DNA等は記録するだろうが、生存時のデータは病院や歯医者等に何か残っているのだろうか。家族は不明の段階で何故届け出しなかったのだろうか。別居していて、気づかない状況にあったのだろうか。
 孤独死であっても、身元が分かるものを所持していたり、住民登録の場所で死亡していれば、手がかりもあろうが、誰も知らないアパートや旅先の旅館、或いは路上、河原等で死亡した場合は、身元調査はできず無縁仏になる。
 これを専門用語で「行旅(こうりょ)死亡人」と言うそうだ。

 戸籍だけが生き続けている例は、次のようなケースも考えられる。
■大震災等の行方不明者、未把握の戦没者、空襲による死亡、外国移民者などで、かつ、遺族からの死亡届、行方不明届もなく、役所が抹消手続きが出来なかった。
■最近一番多いのは、路上生活者や独居老人の死亡のようだ。
■それに、東京都内を見回すと無縁仏を祀る寺院のなんと多いことか
 両国や千住の回向院は、無縁仏を弔うために建立されている。また、遊郭があった近くには、死亡した遊女や飯盛女の「投げ込み寺」がある。
 地方から売られて来た遊女は、死亡しても引き取り手がなく、殆どが「投げ込み寺」にムシロにくるまれ棄てられた歴史がある。3960
 荒川区三ノ輪の「浄閑寺」には昭和33年吉原が廃止されるまで、この寺やその近辺の寺に2万5千人にのぼる吉原遊女らが葬られたという。さほど昔の話ではない
 ところで、身売りした娘達の戸籍抹消はどうしたのだろうか。
 身売りには役場も協力したというから、身売りと同時に抹消した可能性もあるが、それとも残したのか知りたいものだ。
 もし、山形県や東北で不明事案が発覚すれば、出稼ぎや身売りされたまま、故郷に戻らず生死確認が取れないことも推測される。
 仮に昭和30年、15歳で身売りされたとすると、昭和15年生まれだから現在75歳となる。せめて、この年齢まで下げた調査が必要と思う。
 
 以前、山形の郷里で「この辺りは東京都と違って奴(やっこ、乞食)はいない」と自慢していたので、「この辺りにはいないだろうが、この辺りの人が夢破れ、身を潰して都会で路上生活している例が何と多いことか。無縁仏になっている人も多い」と教えたことがある。
 出稼ぎや集団就職、或いは、以前、身売りされ帰郷も出来ないまま音信不通となるか、或いは、家族間の諍いなどから連絡を取ろうともしない人は必ずいる。

 最後に、人身売買は当然法律で禁止されているが、警察庁の統計によれば、売春関連人身売買被害者数は、1955年には1万3433人であったが63年には4503人に減少している。しかし、暴力団関連の人身売買的売春は、現在でも後を絶っていない。

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2010年8月22日 (日曜日)

高齢者不明問題の考察と対策

 「高齢者不明問題」を考察してみるが、何か効果的な対策はあるだろうか。
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 高齢者不明問題は一気に全国に広まり、日本社会の暗部が露見した
 まるで国家による「うばすて山」の時代が到来したかのようだ?
 しかし、大変な社会問題のはずだが、国民もマスコミも受け止め方が冷静すぎる。それは、「高齢者なら死亡していても仕方ない」との感覚がどこかにあるからではないだろうか。
 これが子供が大勢不明なら、殺人、誘拐、猥褻、拉致と大騒ぎしているはずだ。
 
 ここで、結論のヒントを書いておくが、「高齢者不明問題」は、孤独死、自殺、行き倒れが身元不明のまま処理され、戸籍だけが生き続けている可能性が一番高い
  専門用語で「行旅(こうりょ)」と言う。
 旅行ではない。意味も近いようで遠い。
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 まず、今回の問題提起は、個人的には良かったと思っている。国民も何かに気づいたはずだ。
 かつての日本は、何処の家も三世代、四世帯同居が普通の形態だったが、ここ数10年で核家族化が急速に進み、高齢者だけの世帯が増加している。
 これは戦後、GHQ指導下で進められた「家父長制の解体」に起因し、いつかは、このようになると予測されたことだ。来るべき社会が確実に来たと見るべきだ。
 しかし、これが国家が衰退した末期症状であることに気づいている人は少ない。

高齢者及び一人暮らし世帯の増加と要因
  ここ数10年で、年齢を問わず1人暮らし世帯が非常に増えている。
 高齢者が子供と離れて暮らしたり、元々子供のない人が高齢になった場合などだ。
 また、日本の65歳以上の高齢者は、約2500万人と言われ、一人暮らしは確実に増加する。これに拍車を掛けているのが、晩婚化、非婚化だ。
 これは、子供も配偶者もいない高齢者が自動的に増加することで、今以上に所在確認が困難になり、結果として、ひっそりと死亡しても誰も気づかないことになる。

高齢者所在不明の考えられる形態
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他の分類方法もありそうだが、今は思いつかない
 (1)家族が死亡を隠し続ける
  足立区で発覚した事例のように、家族が年金受給を目的として消息を隠し続ける。
  遺体は持ち運んでいた大田区の事例のほか、何処かに隠した可能性が高い。
 (2)事件に巻き込まれた
    高齢者に限らないが事件に巻き込まれたが、事件も遺体も発覚していない。
   身よりが無ければ、戸籍は残る。  
  (3)身よりがない一人暮らしの人がひっそり死亡した
   路上生活者の死亡を含め、この形態が都会で増加しているという。
   身よりがない人は高齢者だけではない。それに、行きすぎた個人情報の保護が
 影響し、大家や不動産屋が店子の個人情報を把握していない例がある。
  中には保証人を必要としないアパート、マンションもある。
  つまり、ひっそり死亡した場合、遺体は身元不明者となる。住民登録があれば
 何か手がかりもあろうが、勤め先等の個人情報も全く不明の場合があるという。
  このような場合も、戸籍は残ることになる。  
 (4)自らの意志で姿を消した
   突然、自らの意志で姿を消して所在不明になり生死確認がとれない。
  今も何処かで生活しているかも知れないが、自殺遺体の未発見や行き倒れ遺体が
  身元不明で処理され、戸籍だけ生き続けている可能性が一番高い。
  これを行旅病人及行旅死亡人取扱法による「行旅死亡人(こうりょしぼうにん)」
 呼ぶ法律用語だ。(3)の一人暮らしの場合も含まれるが、身元不明遺体は、国内で、
  昨年1年間で、約1000人、過去25年間の累積で1万6765人にのぼるという。
  つまり、1万6765人以上の人達は戸籍では生き続けていることになる。
  今回、発覚したものは、ほんの一部。Jimg_2
  これが日本社会の現実だ
 
高齢者所在不明の対策は
  悪意から発生した(1)(2)の事例は、事件として立件し世間に警鐘を鳴らす必要がある。
  しかし、(3)(4)の事例は深刻な社会問題だ。社会の構造が関連してくる。当面、行政による定期訪問が期待されるが、中には住民登録していない例もあり抜本的対策にはならない。
  ましてや、地縁・血縁社会が崩壊した現在、近隣などに期待することは無理だ。
  (かろうじてあるのは「職縁社会」(職業による結びつき)だけだそうだ)

 (1)抜本的対策として「国民基礎番号制度早期実現」
  
政府が導入を目指す、「国民共通番号制度」の中間報告が今年6月にあった。
  これが実施されれば、高齢者の所在不明対策も方策も多少は講じやすくなる。
  さらに、効果を高めるには、指紋やDNA等個人識別データの導入を提案する。
   これが無いと、中途半端な制度になるおそれがある。
   骨だけになったらDNAだけが頼りだ。
  効果として、「失踪者の捜索」、「犯罪検挙と抑止」、「年金不正受給減少」などが
  ある。逆は、「導入時のコスト」、「個人情報保護問題」などが上げられる。

 (2)共通番号の利用範囲拡大(大前研一氏の主張と一致
   
若年時からのデータ蓄積によって所在確認を容易ににする。
   パスポート、運転免許証、健康保険証、厚生年金手帳、印鑑登録証、医療情報や
  交通事故の履歴まで、すべての情報を一元化して、ICカードにして各人が持つ。
   国民は1枚のICカードで、すべての行政サービスが受けられることになる。

 (3)スウェーデンや韓国の基礎番号制度を参考にする
   基礎番号制度で、最も進んでいるのはスウェーデンと韓国だ。
   「税務、社会保障、住民登録、選挙、教育、兵役」まで、全てを共通番号で
   管理しているそうだ。よく、マスコミはスウェーデンの社会福祉制度を褒め称え
   るが、裏にはこのような制度でシッカリと管理していることを知ることも大切だ。
 
むすび
  国家によって「家父長制」が解体された現在、国家が代わって家父長になって国民を世話する以外に手立てはない。それがイヤなら、「家父長制」が復活するように国家の制度を改める以外にない。

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