三鷹のストーカー殺人は防げたか?
果たして、三鷹のストーカー殺人は現行の「改正ストーカー規制法」などの法令適用で、警察は忍び寄る魔の手から被害者を守ることが出来たのだろうか。
警察が警告のため電話した番号は別人だったという。
全て「後の祭り」だ。
「後の祭り」とは、葬式や法事など故人の霊を祭ることで、亡くなった後に盛大な儀式をしても仕方ないことから、後悔の念や手遅れの意味で使われることが多い。(語源由来辞典)
行政は「常に結果責任が問われる」のは仕方ないが、この事件でも、「後出しジャンケン」宜しく、マスコミも世間も一斉に批判だけを並べる。
まず、今回の事件は、屈強なボディガードが数人付いていても、犯人に目的を敢行された可能性が高い。
理由は、犯人はまるで暗殺者のように密かに狙いをつけ、犯行後、捕まることは覚悟していると見えるからだ。
それに犯人は、勝手知ったる被害者宅二階の 鈴木沙彩さんの部屋の「クローゼットで帰宅を待ち伏せしていた」というが、通常、警察官がここまでチェック出来るのか、まず家族がさせるはずがない。
精々、玄関まで送り届けたら互いに安心するはず。
これらを念頭に、三鷹警察署の立場で被害者も含めた選択肢を検討するが、金銭的負担や時間を裂くこともあり、被害者らの協力が得られたか疑問だ。
中には的外れもあるかもしれないが、批判だけで何も考えない人より増しだろう。
■数日は登校せずに家族と自宅待機し、外出を控えるように指導する。
~両親は仕事があるようだし、実施したかは甚だ疑問だ。
■被害者を一時保護施設(シェルター)などに避難させる。
~都内には数か所あるが、この措置は施設も家族も拒否したであろう。
■学校に行かせるなら、警察車両やハイヤーなどでの送迎を検討する。
~数日は可能と思われるが、警察車両は過剰奉仕の声が上がる。
■パトカーや最寄の交番の警察官を定期、ランダムに巡回させる。
~これは家族らからの要請があれば、実施出来た可能性が高い。
■近隣に犯人の写真等を配布し、万が一の110番通報の協力を求める。
~可能だろうが、家族から拒否された可能性が高い。
■自宅を訪問し、防犯体制をチェックし防犯カメラ設置など対策を検討する。
~当日、家族が在宅していたなら出来た可能性が高い。
■その時点で脅迫罪、公然猥褻罪等の事件成立を検討し犯人逮捕に動く。
~果たして、家族がネット上の画像や動画を示して相談したかは疑問。
いずれにしても、世間に知られたくない事情を抱え、隠密裡に解決して欲しかったのだから、積極的に協力したかは甚だ疑問だ。
それに、これらを全て実行しても、被害者宅の間取りや家族関係を把握している犯人の魔の手から、被害者を守り切ることが出来ただろうか。
殺人という甚大な結果からすれば、被害者サイドから多少の抵抗があっても説得して、全て実施して欲しかったが、これも「後の祭り」だ。
ただ、被害者側から、事態に緊迫性のある情報が伝えられていたのか。
的確な対応は正確な情報によってなされるのだ・・・・・・。
菅義偉官房長官は10日午後の記者会見で、警察の対応などについて「徹底した検証が必要だと考えている」と述べた。
米田壯警察庁長官も、「警視庁においてはなぜこの尊い命を救えなかったのか、また同種事案をどのように防止するのかという観点から、真摯にかつ謙虚に徹底した確認作業を行ってもらいたいと考えている」と語っている。
しかし、「後の祭り」であっても、類似事件の再発を防ぐには、警察が迅速に動けるよう、強制捜査が可能にする「ストーカー規制法」の再度の改正や、今のように敷居が高くない「一時保護施設(シェルター)」の充実が待たれる。
いろいろ思うことはあるが、
やはり、「警察は人の命を守る最後の砦 (とりで)」と期待される他に代わりのない国家組織であることを忘れてはならない。
http://z-shibuya.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-9362.html
そして最後に、必要以上に追い詰められたなら「誰だってナイフになれる」と歌う、中島みゆきさんの歌を思い出す。
今は恋愛関係にある仲がいい男女でも、いつか別れがあるかも知れないことを想定し、必要以上に相手を追い詰めない関係、別れ方を知ることも大切だ。
もっとも、中島みゆきさんの場合は自分に向けた歌詞のようだが・・・・・
■ストーカー被害の相談は
警視庁 生活安全総務課「ストーカー対策室」相談受付
TEL 03-3581-4321(警視庁代表)
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「誰だってナイフになれる」 作詞作曲 中島みゆき
誰だってナイフになれる いつだってナイフになれる
誰だってナイフになれる 簡単にナイフになれる
人が幸せ見せるとき 人が背中を見せるとき
誰だってナイフになれる いつだってナイフになれる
誰だってナイフになれる 簡単にナイフになれる
人が幸せ見せるとき 人が背中を見せるとき
けれど ときに理由もなく そんな自分に切りつける
誰だってナイフになれる 自分を嫌いになるとき
自分を嫌いになるとき
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「つきまとい等」とは、特定の人物に対する恋愛感情や好意の感情が満たされなかったことによる怨恨の感情を充足させるために、本人、その配偶者、親族などに対し、以下のような行為をなすことと規定。
(1)つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居・勤務先・学校などの付近において見張りをしたり、そこへ押し掛けたりすること。
(2)行動を監視していると思わせるような事柄を告げること。
(3)面会・交際など、義務のない行為を要求すること。
(4)著しく粗野または乱暴な言動をすること。
(5)電話をかけて何も告げず、または拒まれたにもかかわらず、連続して電話をかけること。また、連続してファックスを送信すること。
(6)汚物・動物の死体など、著しく不快で、嫌悪の情を催させるような物を送付すること。
(7)名誉を害する事柄を告げること。
(8)性的羞恥心を害する事柄を告げること。また、性的羞恥心を害する文書・図画などを送付すること。
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