早期実用化が待たれる「iPS細胞」
日本国内で臓器移植を受ける機会がない患者が、海外で臓器移植を受けるたびに、ニュースに流れる。
と、同時に日本の臓器移植の現状を憂う声を聞く。
背景には、日本では脳死の認定問題等から臓器移植のハードルが高く、移植が進まない実情があるのだが、日本人は金の力で臓器を買い取る印象が強いと国際的問題となっているそうだ。
日本には、心臓移植を必要とする患者が年間300~500名いると言われ、その半数は1年以内に死亡している。
また肝臓移植を待つ患者も、常に400人前後もいるそうだ。
平成22年、日本でも、脳死患者から臓器提供を受ける要件を緩和した改正臓器移植法が施行されている。
それまでは、本人の提供意思を予め書面にあることが必須条件だったが、改正法では、本人の意思が不明でも家族の同意で臓器を摘出できるようになっていた。
しかし、
●「脳死は人の死」とはっきり定義することは避け、臓器提供の場合にだけ、脳死者から臓器を摘出してもよいとする法律になった。
●15歳未満は民法で遺言として認められない。
●虐待の疑いのある18歳未満の子どもからは臓器を摘出できない。
●6歳未満は、蘇生力があるので24時間以上開けなければならない。
などのハードルの高さから、思うように進まない現状にあった。
最近、このような現状を打破する可能性が高い朗報が二つあった。
一つは、あらゆる細胞に変化できるiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って、マウスの体内で人間の肝臓を作ることに横浜市立大学などのグループが成功したこと。
これは、人類全ての夢の技術だ。
もう一つは、富山大学付属病院で6歳未満として初めて脳死と判定された男児からの臓器移植だ。
このご両親の決断は、今後の子供の臓器移植を推進するうえで大きな切っ掛けになったと評価されることになろう。
子供の心臓は同サイズの子供からしか移植出来ないのだ。
また、iPS細胞(人工多能性幹細胞)で臓器を作り出す技術は、生体間移植の必要がなく、余計な気を遣う必要がない。
これは、日本向きの医療技術として、きっと主流になる。
それに、現在は献血に頼っている血液も、iPS細胞から作った血小板なら、病気感染などの心配が減るのだそうだ。
2020年が目標らしいが、そう言わずに早期の実用化が待たれる。
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