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2011年9月21日 (水曜日)

鶴岡出身・高山樗牛著「滝口入道」

 先日、高山樗牛の『自分が立っている所を深く掘れ。そこからきっと泉が湧き出る。』 という言葉をお知らせした。129362511730016324670
 高山樗牛(ちょぎゅう)は、山形県西田川郡高畑町(鶴岡市)出身だ。

 あるところで知ったかぶりして、この言葉を話題にしたところ、逆に「滝口入道」という本があることを教わった。
 生半可な知識は恥をかくことになる。

  「滝口入道」は、高山樗牛こと高山林次郎(1871~1902)が唯一この世に残した著書だという。

 それは高山樗牛が23歳の東京帝国大学哲学科在学中に、読売新聞の歴史小説懸賞募集に応募し、2等賞(1等賞は該当なし)に選ばれた小説だ。
 この「滝口入道」の作者が、高山樗牛だと世間に知れたは、死後だったという。

 「滝口入道」の物語は『平家物語』にある。 平清盛の嫡男小松の内大臣重盛卿の侍である斎藤滝口時頼が白拍子(遊女、主に貴族の相手をした高級娼婦)の横笛に激しく思いを寄せるが、横笛からは返事もないことに世の無常を感じ出家することに始まる。

 この小説「滝口入道」はネットでも読むことができるhttp://www.aozora.gr.jp/cards/000271/files/1556.html
 その一部を下段に引用した。
 美しい文体と流れるようなリズムに触れて欲しい。
 とても23歳の学生のものとは思えない
 やはり高山樗牛は天才だ。
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 滝口入道こと斎藤時頼横笛の悲恋の舞台は、京都・滝口寺にある。
 本堂内には滝口入道と横笛の木像もある。
 この実話は、1923年はマキノ映画「瀧口入道 夢の恋塚」と題して映画化されたことがあった。
 あったら観てみたいし、是非、どなたか映画化して欲しいものだ。

高山樗牛「滝口入道」
http://iaozora.net/ReadTxt?filename=takiguchi.txt&card_id=1556&person_id=271&captions=1&guid=ON

 やがて來む壽永の秋の哀れ、治承の春の樂みに知る由もなく、六歳の後に昔の夢を辿りて、直衣の袖を絞りし人々には、今宵の歡曾も中々に忘られぬ思寢の涙なるべし。
 驕る平家を盛りの櫻に比べてか、散りての後の哀れは思はず、入道相國が花見の宴とて、六十餘州の春を一夕の臺に集めて都西八條の邸宅。
 君ならでは人にして人に非ずと唱はれし一門の公達、宗徒の人々は言ふも更なり、華冑攝※(くわちゅうせつろく)の子弟の、苟も武門の蔭を覆ひに當世の榮華に誇らんずる輩は、今日を晴にと裝飾ひて綺羅星の如く連りたる有樣、燦然として眩き許り、さしも善美を盡せる虹梁鴛瓦の砌も影薄げにぞ見えし。あはれ此程までは殿上の交をだに嫌はれし人の子、家の族、今は紫緋紋綾に禁色を猥にして、をさ/\傍若無人の振舞あるを見ても、眉を顰むる人だに絶えてなく、夫れさへあるに衣袍の紋色、烏帽子のため樣まで萬六波羅樣をまねびて時知り顏なる、世は愈々平家の世と覺えたり。

 見渡せば正面に唐錦の茵を敷ける上に、沈香の脇息に身を持たせ、解脱同相の三衣の下に天魔波旬の慾情を去りやらず、一門の榮華を三世の命とせる入道清盛、さても鷹揚に坐せる其の傍には、嫡子小松の内大臣重盛卿、次男中納言宗盛、三位中將|知盛を初めとして、同族の公卿十餘人、殿上三十餘人、其他、衞府諸司數十人、平家の一族を擧げて世には又人なくぞ見られける。
 時の帝の中宮、後に建禮門院と申せしは、入道が第四の女なりしかば、此夜の盛宴に漏れ給はず、册ける女房曹司は皆々晴の衣裳に奇羅を競ひ、六宮の粉黛何れ劣らず粧を凝らして、花にはあらで得ならぬ匂ひ、そよ吹く風毎に素袍の袖を掠むれば、末座に竝み居る若侍等の亂れもせぬ衣髮をつくろふも可笑し。
 時は是れ陽春三月の暮、青海の簾高く捲き上げて、前に廣庭を眺むる大弘間、咲きも殘らず散りも初めず、欄干近く雲かと紛(まが)ふ滿朶の櫻、今を盛りに匂ふ樣に、月さへ懸りて夢の如き圓なる影、朧に照り渡りて、滿庭の風色碧紗に包まれたらん如く、一刻千金も啻ならず。
 内には遠侍のあなたより、遙か對屋に沿うて樓上樓下を照せる銀燭の光、錦繍の戸帳、龍鬢の板疊に輝きて、さしも廣大なる西八條の館に光到らぬ隈もなし。
 あはれ昔にありきてふ、金谷園裏の春の夕も、よも是には過ぎじとぞ思はれける。

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