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2010年8月28日 (土曜日)

高齢者不明問題の考察 Ⅱ

 高齢者不明問題の発端となった「足立区千住5-20-10加藤宗現(そうげCrm1008080700008p2ん)さん111歳白骨化遺体事件」で、宗現さん名義で遺族共済年金を不正受給したとして、長女と孫が詐欺容疑で8月27日逮捕された。この事件は、年金不正受給や行方不明者などの現状と問題を、国民に提起した点で意義があると思う。

 まず、全国の合同納骨堂等の無縁仏と戸籍上で生き続ける不明数は正比例しているはずであり、年金不正受給を防止する意味でも、対策は喫緊だ。それに、年齢に関係なく身元不明遺体は、国内で年1千体を超すというから驚く。
 8月26日現在で、全国の市町村で100歳以上の不明者は271人に上ると報道された。しかし、この271人は誰も納得しないいずれ10倍以上の数次が明らかになる可能性がある
 また、調査年齢は、年金受給開始年齢に下げての調査が迫られる。

 また、都内最高齢とされる古谷ふささんは、明治30年生まれ113歳となるが、杉並区成田東5丁目の住民登録地に居住せず、所在確認されていない。それに、夫は都の公務員で昭和35年に死亡しているが、遺族年金にあたる「扶助料」が現在も古谷ふさの口座に振り込まれているという。
  それにしても、ふささんは何処に行ったのか、関係者は懸命に捜査中だろう。

 前回、「高齢者不明問題の考察と対策」でも触れたが、不明者は、孤独死、自殺、行き倒れなどが身元不明のまま処理され、戸籍だけが生き続けている可能性が高い。 
 仮に、古谷ふささんが死亡しているなら、三つのことが推測される。
  (1) 家族が死亡の事実を隠し続け、遺体は何処かに隠した。
 (2) 事件に巻き込まれたか、自殺し、事件も、自殺した遺体も発覚していない。
  (3) 晩年、一人暮らしか、旅先か、路上生活で、事故死か病死か老衰死した。
 一番可能性が高いのが(3)の孤独死による無縁仏だろう。当然、足立区の事件のように家族がひた隠して遺体も隠しり、廃棄した疑いも捨てきれない。
 しかし、その遺体(遺骨)が何処にあるのか、捜すだけでも大変なことと思う。
 照合するには、死亡時のデータと生存時のデータが必要だ。死亡時には指紋や歯形、DNA等は記録するだろうが、生存時のデータは病院や歯医者等に何か残っているのだろうか。家族は不明の段階で何故届け出しなかったのだろうか。別居していて、気づかない状況にあったのだろうか。
 孤独死であっても、身元が分かるものを所持していたり、住民登録の場所で死亡していれば、手がかりもあろうが、誰も知らないアパートや旅先の旅館、或いは路上、河原等で死亡した場合は、身元調査はできず無縁仏になる。
 これを専門用語で「行旅(こうりょ)死亡人」と言うそうだ。

 戸籍だけが生き続けている例は、次のようなケースも考えられる。
■大震災等の行方不明者、未把握の戦没者、空襲による死亡、外国移民者などで、かつ、遺族からの死亡届、行方不明届もなく、役所が抹消手続きが出来なかった。
■最近一番多いのは、路上生活者や独居老人の死亡のようだ。
■それに、東京都内を見回すと無縁仏を祀る寺院のなんと多いことか
 両国や千住の回向院は、無縁仏を弔うために建立されている。また、遊郭があった近くには、死亡した遊女や飯盛女の「投げ込み寺」がある。
 地方から売られて来た遊女は、死亡しても引き取り手がなく、殆どが「投げ込み寺」にムシロにくるまれ棄てられた歴史がある。3960
 荒川区三ノ輪の「浄閑寺」には昭和33年吉原が廃止されるまで、この寺やその近辺の寺に2万5千人にのぼる吉原遊女らが葬られたという。さほど昔の話ではない
 ところで、身売りした娘達の戸籍抹消はどうしたのだろうか。
 身売りには役場も協力したというから、身売りと同時に抹消した可能性もあるが、それとも残したのか知りたいものだ。
 もし、山形県や東北で不明事案が発覚すれば、出稼ぎや身売りされたまま、故郷に戻らず生死確認が取れないことも推測される。
 仮に昭和30年、15歳で身売りされたとすると、昭和15年生まれだから現在75歳となる。せめて、この年齢まで下げた調査が必要と思う。
 
 以前、山形の郷里で「この辺りは東京都と違って奴(やっこ、乞食)はいない」と自慢していたので、「この辺りにはいないだろうが、この辺りの人が夢破れ、身を潰して都会で路上生活している例が何と多いことか。無縁仏になっている人も多い」と教えたことがある。
 出稼ぎや集団就職、或いは、以前、身売りされ帰郷も出来ないまま音信不通となるか、或いは、家族間の諍いなどから連絡を取ろうともしない人は必ずいる。

 最後に、人身売買は当然法律で禁止されているが、警察庁の統計によれば、売春関連人身売買被害者数は、1955年には1万3433人であったが63年には4503人に減少している。しかし、暴力団関連の人身売買的売春は、現在でも後を絶っていない。

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