武器で結びついた薩摩と長州
今日8月29日、日曜日は、「龍馬伝」“薩長同盟せよ”がある。
坂本龍馬をあつかった英雄伝は、全てがつくられた虚像だといいたい。
小説、ドラマであっても、騙されないためには、真実をある程度を知ることが大切と思う。作家・吉村昭は自書「ひとり旅」で、薩長は武器で結びついたもので、龍馬のことは史実ではないと一蹴している。
龍馬はただの土佐の郷士(半農半士程度の身分)、あの当時、藩士ではない者が、薩摩藩、長州藩という、一つの国同士を仲介することは有り得ないと批判している。
他の作家も、龍馬は精々武器商人グラバーの助手程度の役割と評価している人が多い。
「亀山社中」も、グラバーと香港に本社があった「ジャーディン・マセソン商会」が武器を密輸するために作ったダミー会社とされる。
そして、「大型蒸気船ユニオン号」は、名義を薩摩藩、実際の運用は長州藩、乗員は「亀山社中」という複雑な契約をとり、上手に「長州藩」に引き渡している。このようなことは、元々商取引の知識がない坂本龍馬の案ではないと言われる。
なお、「ジャーディン・マセソン商会」 は、近年では「マンダリン・オリエンタルホテル」等の経営で知られる。 このような歴史物は視聴者も、史実をある程度知っておくことが大切と思う。
小説がドラマ仕立てになると、史実として見てしまう傾向が一層強く、それが、間違った人物像が定着することは、もっと怖い。
そのいい例が、
司馬遼太郎の坂本龍馬、吉川英治の宮本武蔵と言われ、新撰組も、戦後暫くは悪役でしか登場しなかったが、近年ようやく正しい評価を下されるようになったとされる。また、吉川英治の「宮本武蔵」には、今東光が歴史をねじ曲げた小説だ」と強く批判していたことを思いだす。作家の吉村昭は、「歴史を究める」こと、そして「定説をくつがえすのも、作家の務め」だと、暗に批判する。更に、「私は、史実というものはそのままなのドラマですと。ですから、史実を書いていると、それが小説になるのです。」と語る。昭和42年「高熱隧道」を発表以来の読者だが、吉村昭の徹底した調査力からして、当然ながら全面的に支持している。
■吉村昭著「ひとり旅」に
「武器で結びついた薩摩と長州」という項目がある。
------------------------------引用-
長州藩もそのころ、下関海峡を通過する外国船を無差別に砲撃していたのです。
これも先ほど言いましたように、尊王攘夷ですね。
外国の勢力に負けないぞということを誇示するために、無差別に砲撃していたのです。
それで、外国も怒ってしまって、アメリカ、オランダ、フランス、それからイギリスなど、連合艦隊が下関へ行ったのです。
そして、長州藩と戦闘をしましたが、長州藩が惨敗。
大砲や青銅砲なども随分持っていかれてしまって、今アメリカなどに展示されたりしていますけれど、そのようにして長州も全く負けた。
そのときに、井上馨(※長州藩)と桂小五郎(※長州藩医・和田昌景の長男、後に木戸孝允)が長崎に行きまして、グラバーというイギリスの商人と交渉して、「銃と大砲を輸入したいんだ、頼む」と言いました
のですが、そのころは長州征伐というのがありまして、幕府は長州だけには売るなと、外国商人に圧力をかけていたのです。
それで、だれも長州藩の要求にこたえなかった。
桂と井上は、たまたま長崎に来ていた小松帯刀(薩摩藩家老)のところに行ってなんとかして欲しいと。 小松帯刀(薩摩藩家老)は快諾し、分かった、薩摩の名義を貸しましょうと。
それで、どんどん輸入なさいと。
二人は大喜びして、そして長州藩は外国の銃砲、それから軍艦まで輸入したのです。
その、薩摩が斡旋したということを、長州藩の藩主とその息子さんがお礼状を送っている、鹿児島に。ともかく斡旋していただいてありがたいと。
薩摩藩と長州藩で幕府を倒すことに全力を挙げましょう、
そのような礼状が行っているのです。
つまり薩摩と長州が結びついたのです。
薩長同盟というと、坂本龍馬が斡旋したことになっているのですが、坂本龍馬は土佐藩藩士ではなく、郷士です。
坂本龍馬が両方を仲介して薩長同盟を結ばせたといわれていますけれども、そのようなことは史実にないのです。
一人の人間が薩摩と長州、今のアメリカとソ連のようなものですが、それを中に入って、話をつけるなどありえない。
一番最大のものは武器なのです。
武器で合致してしまった。
それで、この薩摩・長州が新鋭銃、新鋭の大砲、これを輸入して、そして幕府と対抗す
る。鳥羽伏見の戦いで、幕府軍は一万五千人、薩長のほうは四、五千なのですね。
それで圧勝してしまったのです。
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