秋の夜長は「平家物語」
「平家物語」http://www.st.rim.or.jp/~success/heike_index.html
巻第一「祇園精舎」は特に有名だ。あまりにも最近の世相を語っているようで面白い。もっとも、人の世の出来事は、今も昔も、限りない人の欲から生まれた事象が殆どで、どんな立派な口実を付けても変わることはない。
祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響あり。沙羅双樹(さらそうじゅ)の花の色 盛者必衰(じょうしゃひっすい)の理(ことわり)をあらはす。奢(おご)れる人も久しからず、唯(ただ)春の夜の夢のごとし。猛(たけ)き者も遂には亡(ほろ)びぬ 偏(ひとえ)に風の前の塵(ちり)に同じ。遠く異朝(いちょう)をとぶらへ(え)ば、秦の趙高(ちょうこう)・漢の王莽(おうもう)・梁(りょう)の周伊(しゅうい)・唐の禄山(ろくさん)、是(これ)等は皆旧主先皇(きゅうしゅせんこう)の政(まつりごと)にしたがは(わ)ず、楽しみをきは(わ)め、諫(いましめ)をも思ひいれず、天下の乱れむ(ん)事をさとらずして、民間の愁(うれ)ふ(う)る所を知らざッしかば、久しからずして、亡(ぼう)じにし者どもなり。近く本朝をうかがふ(う)に、承平(しょうへい)の将門、天慶(てんぎょう)の純友(すみとも)、康和の義親(ぎしん)、平治の信頼(のぶより)、是等はおごれる心もたけき事も、皆とりどりにこそありしかども、まじかくは六波羅の入道(にゅうどう)前(さきの)太政大臣、平(たいら)朝臣(あっそん)清盛公(きよもりこう)と申しし人の有様(ありさま)、伝へ(え)承(うけたまわ)るこそ、心も詞(ことば)も及ばれね。
【口語要約】
この世に永遠なるものなどない。世の中はたえず変わっていくもの。そのように祇園精舎の鐘は響いている。権勢を誇る者もやがては滅んでゆく。ましてや贅沢三昧に酒色に夢中になる者の、そうした人生は長く続かない。それは全く、最もな事であり、春の一夜の夢と同じだ。まさに風に漂う塵のようなものだ。・・・・中略・・・・・近くは日本を見れば、承平の乱で平将門が世を乱し、天慶(938~947-承平の後、天暦の前の朱雀・村上天皇の代)の純友、康和(1099~1104-承徳の後、長治の前で堀河天皇の代)の義親、平治(1159~1160-保元の後、永暦の前で二条天皇の代)信頼など、傲慢な心や荒々しい行動は、いろいろ様々であった。最近の清盛という者も奢りや高ぶり、そしてその圧政は想像できない程で、筆舌につくしがたいほどに凄まじいものだ。
秋の夜長には、時にはいにしえの文章に触れるのもいいものだ。
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